「もう辞めたい…」
今日もそう思いながら出勤した方へ
介護の仕事に携わっていると、ふとした瞬間に「もう限界かも」「私、向いてないのかな…」と感じたことはありませんか?
例えば…
・利用者様の暴言暴力に耐えなければならないとき
・職場の人間関係で心をすり減らしてしまうとき
・命に関わる責任の重い仕事なのに、給料が見合ってないと感じるとき
私自身も、人員不足の中、休憩も取れずにひとり走りまわってやっと座れた時や、大変だった夜勤明けの帰り道、「あぁ…向いていないのかな」「辞めたいな…」そう思うことがよくありました。
この「辞めたい」「自分に向いてないのかな」そう感じる方へこの記事を書いています。そう感じる人は絶対に一人だけではありません。
介護という世界には「介護士に向いていない」と感じさせてしまう要因があります。
「介護士に向いてない」と感じる瞬間とは?
介護士に向いていないと思う瞬間は人によって違いがあると思います。特に多いのはどんな瞬間でしょう?入社1年で慣れない時期や、仕事の失敗に自己責任を感じた時も強く感じるのではないでしょうか?他にもあるかもしれません。
例えば、「正解のない認知症対応」正しい認知ができない方の対応です。危険行為や迷惑行為があったとしても怒らず否定もせず、人間らしい生活をしてもらう難しさに直面する時、介護の難しさを感じて「向いてないのかな」と思ってしまうことはありませんか?
また、介護士によって価値観と知識とスキルが違います。あの人は、食事を全部食べていただくことが正義と考える。これは利用者様の健康管理という責任を預かっているという責任感かもしれません。しかし、この人は、たとえ少量しか食べることができなくても、その人の食べたくないという意思を尊重します。または、意思を尊重した上で、医療の力を借りる人もいる…。
何が正しいのか?利用者様、ご家族、施設、介護士や看護師、もちろん医師によっても、みんなそれぞれの正しさを持っています。
そんな中、自分の正しさだけで進まず、周りの正しさもを尊重できる人は、この多くの正しさの中で悩んでしまうこともあると思います。そして悩み疲れ「向いていないのかな」そう思う時がきてしまうんです。
それから介護の世界の三大悩みの一つと言えるのが、「人間関係」。日本の介護業界の人手不足の深刻さは、長年言われ続けています。人数が少ない中で、意見が合わなかったり、この人苦手だと思う人と一緒に働いていれば、心も荒んでいきます。
また、現場のことを理解しない、理解しようともしない上司、施設。これもまた大きな悩みの種になりますよね。大きな責任を抱えながら、ストレスも抱える。「辞めたい…」そう思うのも必然です。
最後は、介護士の性格によるところもあります。繊細さを持った人や、優しさを持った人は特に心が追い込まれ、「向いてないのかな」「辞めたい」と思ってしまうことに繋がります。介護の現場に限らず、どのような職種においても同じ傾向があるかもしれません。
他人の気持ちを深く考えられる、完璧を目指してしまう、失敗を引きずるタイプは要注意です。
では、このような思考傾向を持った人は介護士に「向いていない」のでしょうか?
「向いてない」は思い込みかもしれない理由
まず大前提、日本の介護業界は深刻な人手不足です。そんな中、最善を尽くしても救えない場面もあります。自分ができない、向いていないのではなく、環境がそう思わせているという場面もあるはずです。
特に、自己肯定感が低い人は「向いていない」と思う傾向があります。そしてなんでも自分のせいだと思ってしまうのです。自己肯定感が低いと、自分の選択や行動に自信が持てないからです。
人手不足の中での業務や人間関係に「向いていない」=「介護士に向いていない」とは別のことです。
自分が「介護の仕事に向いていない」と思ってしまうのには、完璧主義や他人の心を深く考えることができてしまうからこそ、できないことに目が向いてしまうことも一つの要因として考えられます。できないことがひとつ、またひとつ積み上がってしまうと、自分は仕事ができない、そして、介護は向いていないのかなと結論付けててしまうのです。
だから「向いていない」と思うことが思い込みの可能性もあるんです。
できていることもたくさんあるはずです。
・たとえ職場の人間関係がうまくいかなくても、利用者様のちょっとした変化に気付き報告ができる。
・苦手なことがあっても、それをやりこなすことができる。
・不満や納得いかないことも噛み締めて、それでも今日も働きにいける。
それだけでもすごいことです。ただ、その働き方を続けていると、心身の不調へとつながってしまいます。
辞めたいと感じた時の心の整え方
「辞めたい」と思って、ふと涙が溢れてしまうような時、休みの日も仕事のことが頭から離れなくなってしまっているとき、物事を前向きにな捉えられなくなっている時は、もう明らかに心身ともに疲労困憊の状態です。
そんな時はひとまず休む!
身体も心もしっかり休ませてあげる。これが一番大事。心も身体も疲弊していると、物事をネガティブに捉えてしまいがちです。
心も身体も健全だから、物事も健全に考えられる。
また、日頃働きながらストレスをためないようにするためには、
「他人を優先せず、自分を優先すること」
これが自分の心を守る対策になります。
つまり、相手と他人の間に境界線を引き、相手の責任まで負わないということです。
具体的には、人数が少ない中、次の人のためを思って、何でもかんでも完璧な状態にしておく。オムツやパットの補充、そういったことを頑張りすぎないことです。確かに、オムツやパットの補充がないと「なんで補充してないんだ」と思うこともありますよね。
だからと言って、1回2回そんなことがあっても、自分の価値が否定されるわけでもないですし、やらない誰かの価値が下がるわけでもありません。それに、「やってあげる」ことによって、相手の成長の機会を奪うこともあります。またはこれはやってもらえるからやらなくても良いか、と手を抜く後押しをしてしまっているかもしれません。
だから、まずは自分の時間の自分の業務に集中すること。余裕がある時だけ何か一つ手伝うなどして、他人と自分との間に境界線を引くことをお勧めします。
これはどの介護の現場に限りません。どんな時も、
「他人と自分との間に境界線を引く」
「相手の責任を背負わない」
これは自分を守り、人間関係を円滑にしていくために大切なことです。
また、感情の整理をすることも大切です。
考えていること、感じていることを思うまま、そのまま紙に書き出す。信頼できる人に話す。こうしたことを通じて、感情を整理することで、心が整うこともあります。時には書いたものをビリビリに破いてみたりすることで気持ちがスッキリすることもありますよ。
ここでポイントになるのは、感じていることをそのまま書き出すこと、誰かに話すことです。なぜポイントになるのか?それは、自分の気持ちを俯瞰できることです。それが、ありのままの自分を受け入れることにつながるからです。
自分の感情を否定する、抵抗するというのは、とてもストレスの大きなこと。
「ムカつくって思っちゃいけない」
「あぁ!また怒っちゃった!自分ってなんでこんなに怒りっぽいんだろう、ダメだな」
「また泣いちゃった。本当にダメな自分。」
こういった思考は自己肯定感を下げることにも繋がります。
だからこそ、ありのままを書き出してみること、信頼できる人に相談してみること、これらが心を整えるために大切な方法になります。
そんなことをしても、もう限界です!という方は、おそらく心身の危険信号が出ているはずです。
「今すぐ辞めるべき?」はこんな時
心身に不調が出てしまっていて、朝も起きられない。疲れているはずなのに眠れない日が続いてる。それは危険信号です。心身が崩壊してしまっては、健全に働くことはおろか、日々の暮らしまでもが破綻してしまいます。休めないのであれば、退職することも視野に入れた方が良いのかもしれません。
退職すること、転職することは逃げではないと捉えましょう。退職せずに、転職せずに限界を迎え、日常が破綻してしまったら、もともこもありません。自分を守る選択が何か?おそらく自分が一番知っているはずです。
特に介護に携わる方は知っているはずです。〇〇さんは転職を何回しているらしい。〇〇さんは、〇〇を諦めたことがあるらしい。そんなことで人を評価したり、接し方を変えたりしないはずです。今この時のその人に接しているはずです。自分が健全でいられることの方が大切ですよね。
それでも頑張りたい時にできること
辛いことも、苦しいこともたくさんあるけど、それでも頑張りたい!という方は、今自分を守るためにできることをやってみましょう。例えば_
異動や配置転換を相談してみる。我慢しない。
誰かに何か思われたら嫌だな、〇〇さんも耐えてるんだから、自分も耐えなきゃ。このような思いで、異動や配置転換を相談できないのは自己犠牲です。他人に気を遣いすぎず、自分のためを思って、我慢をしない選択ができると良いですね。
自分の特性を知る→対処法がわかる
また、自分の特性を知ることは、働き方や穏やかな生き方にまで直結します。自己理解を深め、自分を知ることができると、自分がストレスをためない方法や、発散方法も対策することができます。
そして自分を知るということは、ありのままの自分を認めてあげられることに繋がります。自己受容ができると、それだけで生きやすくなります。MBTI診断や、適性診断など、無料でできるものもたくさんあるので、活用してみましょう。
共有できる仲間を見つける、職場以外で逃げ場を作る
現代はSNSも発達し気軽に誰とでも繋がれる時代です。誰かが同じ思いをしているんだと思うだけでも気持ちが救われることもありますよね。そうそう!そうなのよ!同じ気持ちです!私も頑張ります!って思えることもあります。
職場に理解者がいればそれは良いことです。しかし職場では派閥があるかもしれませんし、共有した不平不満がダダ漏れだったなんてこともあるかもしれません。職場以外に小さなコミュニティを見つけたり、自分だけのお気に入りの場所を見つけるのもお勧めです。
楽しみ、ご褒美を用意する 自分を甘やかそう
これはよくある対策ではありますが、意外とあなどれません。自分が好きなこと、好きな食べ物、好きな場所、推し、これらはストレス発散や気分転換だけではなく、生活に潤いを与えてくれます。自分を守ること、頑張る自分をきっと後押ししてくれるでしょう。
「向いてない」が「向いてる」に変わる時
「向いてない」「辞めたい」と思う時は、かなり苦しい局面ですよね。ただ、辞めたくなるほど苦しいのは、それだけ真剣に取り組んでいる証拠。本当に介護職に向いていないのに「向いてない」と気付いていない人は、自分が向いているかいないかも考えたことはないのかもしれません。
行き詰まって「あぁ…向いてないな」そう思った時は、自分を知るチャンスがやってきています。なぜ向いていないと思うのか?それは自分が完璧主義だったからそう思っていたのかもしれないですし、常に優しさを持って接しているから、救えない葛藤に心を痛めているのかもしれません。
自分を知ることで、これまでの働き方を見直すこともできます。向いていないと思っていたところでも、実は自分を活かせる場所なのかもしれません。
まとめ「向いてない」と感じる自分も人生の主人公
「向いてない」「辞めたい」と思って、心が限界を迎えてしまっている方、今できることは「自分を大切にすること」です。まずしっかり休んでください!誰かに迷惑をかけるなんて心配は横に置いておいて、しっかり休む!これが大切です。
それはなぜか?自分の人生の責任は自分しか取れないからです。他人を優先して自分を置いてけぼりにするのか、それとも自分を優先して快適に生きるのか?人生の主人公は自分です!
どんな選択が自分のためなのかを考え、それを行動すること。「辞めたい」「向いてない」そう思った時、自分を見つめ直してあげてくださいね。
辞めるか、続けるか。
その選択に正解はありません。
でも、「自分の気持ちをちゃんと見つめて決めた」ということが、
その後の人生に、自分で責任を持てる力になります。
あなたの未来は、これからです。
自分を否定するのではなく、いたわる選択をしていきましょう。
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